1.伊坂幸太郎「アヒルと鴨のコインロッカー」
アヒルと鴨のコインロッカー
社会人になり、見知らぬ田舎での勤務、タメ口で話せる相手は数少ない同期達だけ。という環境で、コロナ禍が追い風となり、読書に目覚める第一歩となった小説。
中高時代は親兄弟が買ってきた超話題作をごく稀に読む程度で、大学~院時代は恥ずかしながらゲーム三昧。
就職すると、何が起きたか途端にゲーム熱が冷めて、時間を持て余していたところで、いい趣味はないかと探していたときに出会った本がこの小説。
私的あらすじ
引っ越してきた主人公に本屋強盗を持ち掛ける隣人。押しに弱いというか断り切れないというかそんなような性格の主人公は最終的に協力することに。しかも、目的は広辞苑だという俄かに信じがたいところから始まる。本屋を襲い、広辞苑を奪おうという隣人の真意とは何か。2年前と現在の二つの時間軸で展開される物語が進むにつれて違和感や謎が紐解かれていく。
感想
初めて読んだ伊坂幸太郎先生の作品でした。いくつか読んだ今だからわかることですが、非常に伊坂作品らしく、引き込まれてどんどん読んでしまいます。
最終的には本屋襲撃の真の目的からトリックまでしっかりと明かされて、どんでん返しは流石というか見事というか。終わってみれば軽めの叙述トリックでありながら、叙述トリックものによくある、オチのための本文といった感じが全く無く、すっきりと読み終わることができました。
おわりに
タイトルにある「アヒル」と「鴨」の違いご存じでしょうか?
イメージ的にはアヒル=白色、鴨=灰・茶色といった区別ですが、正確には鴨の一種がアヒルなんだとか。ちなみに家鴨でアヒルです。私のイメージしていた色付きの鴨はマガモらしい。
個人的な話ですが、読書の世界に引き込んでくれた作品で伊坂幸太郎先生のファンになった作品でもありますので、思い出深い小説。伊坂先生ファンが多いのも納得していただける小説だと思いますので、ぜひご一読ください。
以上、とーぶりでした。